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血小板

肝臓の異常を見つける検査では、血小板の数値も重要な指標です。ここでは血小板の減少が示す肝臓の状態について解説していきます。

肝硬変になると血小板が減少する

血小板(PLT)は骨髄で作られる血液成分のひとつで、血液を固めて出血を止める働きを持っています。

血小板などの血液成分は骨髄で作られ、古くなった血液は脾臓で破壊され、排泄されます。しかし、慢性肝炎や肝硬変によって肝臓が繊維化すると肝臓の血流が悪くなるので、肝臓の上流にある脾臓に血液が溜まって肥大してしまい、血液中の血小板が壊されすぎて減少してしまうのです。
また、血小板の産生をうながすトロンボポエチンという物質は肝臓で作られるため、肝機能の低下によって血小板の作られる数自体も減少してしまいます。

上記2つの理由で、血小板数の減少は慢性肝炎や肝硬変の進行度をはかる、非常に重要な数値となっています。

ただし、血小板数が減少する病気は肝臓疾患以外にも数多くあるので、GOT(AST)値、GPT(ALT)値、ガンマGTP値など、肝機能に関する他の項目もあわせて確認しましょう。

  • 血小板(PLT)数の基準値・・・10万~40万/μL
  • 血小板数が低い場合・・・慢性肝炎、肝硬変、重症肝炎、DICの合併などの可能性があります。また、薬剤性血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症などの可能性もあります。
  • 血小板数が高い場合・・・急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、悪性腫瘍、栄養不足、拒食症などの可能性があります。血小板(PLT)は骨髄で作られる血液成分のひとつで、血液を固めて出血を止める働きを持っています。

肝炎や肝硬変の症状のひとつとして「出血しやすい」「出血が止まりにくい」出血傾向がありますが、これは血小板の減少によって引き起こされる現象です。

血小板の数と肝臓がんの危険性の関係

慢性肝炎などで肝臓の繊維化・肝硬変が進むほど、肝臓がん発症の危険性が高まります。繊維化の進行がいちばん分かりやすい検査は肝組織を取って検査する生検ですが、容易には行えないこともあります。
そこで、血液検査による血小板数値を用いれば、肝硬変の進行程度をある程度予測することが可能です。

肝硬変の進行度はF1~F4で表されますが、軽いF1からF2~F3と進行して肝硬変から肝臓がんへと近づいていく様子は血小板数の減少にはっきりと表れて、「右肩下がりの血小板」などと表現されます。

血小板の数の異常で疑われる疾患

血小板の数が増えると「血栓症」などの危険な病のリスクが高まり、逆に血小板の数が減少すると「脳出血」などを発症する可能性があります。そしてこれらの血小板数の変化は、肝臓の疾患にも関わっているのです。

血小板が基準値より増加している場合

血小板が増加する「血小板増多症」とは、抹消血液検査で血小板数(Plt)が45万/μl以上の状態のことです。
症状が起こる主な原因は、骨髄の腫瘍や造血幹細胞の異常などが挙げられます。しかし、二次性血小板増多症の場合、癌やリウマチなどの慢性炎症、鉄欠乏症などが原因となります。

症状

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は、骨髄の中にある造血幹細胞が癌化することで発症します。
「幹細胞」とは、iPS細胞などで有名な、あらゆる細胞の元となる細胞のことです。造血幹細胞は骨髄で赤血球・白血球・血小板を作る細胞なのですが、この細胞が癌化すると、その血液を作る機能がおかしくなってしまうのです。
症状は主に、

①赤血球が未熟な状態で作られてしまうため、貧血や動悸、息切れ、倦怠感などの症状が現れる。
②白血球が未熟な状態で作られ、体内の病原菌への抵抗性が低くなるため、病気に掛かりやすくなる。
③血小板の増加・および減少で内出血や鼻血などが起こりやすくなる。

といったことが挙げられます。
慢性期の場合、自覚症状はほとんどなく、倦怠感や微熱といった症状が現れるだけです。しかし、移行期から急性期になると、骨髄の中で芽球(白血病細胞)が増加し、徐々に急性白血病と同様の症状が現れるようになります。

  • 原因・・・先天的な遺伝子異常(フィラデルフィア染色体)
  • 検査・・・血液検査・骨髄検査・脾臓などの腫大を調べる超音波検査
  • 治療・・・イマチニブなどのBCRABLタンパクの働きを抑える薬の投与・抗がん剤・インターフェロン・造血幹細胞の移植
本態性血小板血症

本態性血小板血症は、上記の慢性骨髄性白血病と同じく、血液を作る造血幹細胞の異常によって現れます。慢性骨髄性白血病との違いは、血小板を作る「巨核球」が増殖することにより、血小板数が増大するという点です。白血球が軽度増加することもありますが、赤血球は正常な範囲内となります。
症状は、血小板が増えることで鼻血や歯茎からの出血、または内出血が起こりやすくなります。最も注意するべきなのが「血栓症」であり、血管内に血の塊ができやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる症状が現れやすくなるのです。

  • 原因・・・先天的な遺伝子異常(JAK2遺伝子)
  • 検査・・・血液検査(血小板凝集能検査)・脾臓などの腫大を調べる超音波検査
  • 治療・・・アスピリンなどの高血小板薬・抗癌剤
原発性骨髄線維症

原発性骨髄線維症とは、骨髄中の造血幹細胞が腫瘍化し、骨髄が徐々に線維化・骨硬化する病です。線維化した骨髄では血液が作られなくなるため、代わりに肝臓や脾臓で血液が作られる「髄外造血」が行われるようになります。
初期状態では白血球と血小板が多く作られますが、赤血球は減少してしまうため、動悸・息切れ・倦怠感といった貧血症状が現れます。症状が進むにつれて白血球・血小板の数も減少し、白血球減少による免疫不全や、血小板減少による出血症状といった急性白血病と似た症状が現れるようになります。

  • 原因・・・先天的な遺伝子異常(JAK2遺伝子)
  • 検査・・・血液検査・骨髄生検・骨髄穿刺吸引
  • 治療・・・抗癌剤ルキソリチニブ・造血幹細胞の移植
真性多血症

真性多血症(真性赤血球増加性)とは、骨髄内で血液を作る細胞である造血幹細胞が腫瘍化することで発症する病です。
血小板だけでなく多くの赤血球も作られ、血管内に過剰な量の血液が流れることから、体に様々な症状が現れます。主な自覚症状は顔の紅潮・頭痛・高血圧・入浴後の皮膚のかゆみ・結膜の充血です。また、脾臓の腫大や消化管潰瘍などの合併症を誘発することも症状の1つです。
放置すると心筋梗塞や脳梗塞といった危険な病に発展する恐れがあります。

  • 原因・・・先天的な遺伝子異常(JAK2遺伝子)
  • 検査・・・血液検査(循環赤血球量の測定)・脾臓などの腫大を調べる超音波検査
  • 治療・・・抗癌薬・瀉血(静脈の血液を除去して血液量をコントロールする治療)
二次性血小板増多症

二次性血小板増多症は、なんらかの病気や治療の影響によって、血小板量が増えている状態を指したものです。二次性血小板増多症の原因となる病は、出血・溶血・鉄欠乏症・感染症・脾臓摘出・関節リウマチ・一部癌またはサルコイドーシス(肉芽腫)が挙げられます。
症状自体は「本態性血小板血症」と同様に出血や内出血の増加、さらに血栓症リスクの増加です。血小板を増やす原因である病状や治療が回復すれば、血小板の増加も収まります。

  • 原因・・・出血・溶血・鉄欠乏症・感染症・脾臓摘出・関節リウマチ・癌・サルコイドーシス等
  • 検査・・・血液検査(血算・抹消血塗抹検査)
  • 治療・・・原因となる症状の治療

血小板が基準値より減少している場合

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは、血小板を始め、赤血球や白血球などの血液が減少する病です。
赤血球の減少によって、表面的には一般的な貧血同様の頭痛・めまい・動悸・倦怠感・息切れといった症状が現れます。また、この症状は白血球や血小板数も減少しているため、白血球減少による免疫力低下や血小板減少による皮下出血・歯肉や鼻からの出血も同時に現れるのです。症状が悪化すると眼底出血や脳内出血、免疫不全などの症状が現れるようになります。

  • 原因・・・9割近くが原因不明・主に後天的に発症する・薬剤の副作用や放射線による造血幹細胞の障害・免疫異常によって造血幹細胞の障害
  • 検査・・・血液検査・骨髄検査・骨髄シンチグラフィ
  • 治療・・・骨髄移植・免疫抑制療法・タンパク同化ホルモン・赤血球製剤などの支持療法
特発性血小板減少性紫斑病

特発性血小板減少性紫斑病とは、免疫異常によって血小板の数が減少する病です。
免疫細胞に異常が生じてしまい、体内の血小板を次々に破壊してしまうことで、血小板が激減します。また、異常を起こした免疫細胞は造血幹細胞や巨核球上にあるトロンボポエチンの受容体の働きを阻害します。トロンボポエチンは血小板生成に欠かせないタンパク質ですが、免疫細胞がその働きを阻んでしまうため、血小板の生成量も抑制されてしまうのです。
なぜこのような免疫異常が起こるかは不明です。また、ピロリ菌感染によって発症したという事例もあります。

症状は名前が示す通り、肌に内出血のような紫斑が現れることです。また、肌にまだら状の点状出血が現れる場合もあります。そのほか、血小板の減少による鼻血・歯茎からの出血・月経による出血過多・褐色尿・黒色便などの自覚症状が現れます。
重篤な場合は脳出血などの症状も現れるため、注意が必要です。

  • 原因・・・免疫細胞異常・ピロリ菌の感染
  • 検査・・・血液検査(抹消血液検査・免疫血清学的検査)・骨髄検査・ピロリ菌検査・超音波検査
  • 治療・・・免疫抑制療法・血小板輸血・血小板増殖刺激因子製剤・脾臓摘出手術・ピロリ菌除去療法
血栓性血小板減少性紫斑病

血栓性血小板減少性紫斑病とは、全身の血管に血栓ができる病です。血栓ができる際にたくさんの血小板が使われるため、この症状が起こると血小板の減少が見られるようになります。
主な症状は血小板の減少による皮膚のあざ(紫斑)・鼻血または歯茎からの出血・血栓によって腎機能低下が起こることによる黄疸などが挙げられます。

また、血栓性血小板減少性紫斑病が起こると、血管内が血栓によって狭まり、通過する赤血球が破壊される溶血性貧血が現れます。赤血球の減少によって貧血・動悸・呼吸困難・腎機能低下が起こるのです。赤血球同様に血小板も破壊されるため、血栓ができることでの血小板減少と合わさり、血管内での血小板の数が大きく減退します。
重症化すると重篤な血栓症が現れるようになるほか、意識障害や臓器不全などの症状が起こるため注意が必要となります。

  • 原因・・・先天的な遺伝子異常(ADAMTS13・補体制御異常)・出血性大腸炎の罹患や腸管出血性大腸菌の感染・妊娠・癌治療における化学療法・免疫抑制剤の影響・コバラミン代謝異常・抗マラリア薬の使用・癌やHIV、膠原病などの他疾患
  • 検査・・・血液検査(血液塗抹標本)・尿検査・便培養
  • 治療・・・血漿交換療法・ステロイド療法・抗血小板療法・免疫抑制剤
肝硬変

肝硬変とは、慢性肝炎が長期化することで肝臓が硬化し、機能不全に陥る症状です。
肝臓には自己修復機能があり、病原体やアルコールによるダメージを受けたとしてもすぐに修復できます。しかし、過度の飲酒などによりダメージが蓄積すると、この再生が追いつかなくなり、修復時に作り出すコラーゲン繊維が蓄積し徐々に硬化・縮小してしまうのです。

肝硬変の症状が進むと、血小板数も徐々に減少します。「特発性血小板減少性紫斑病」でも触れた、血小板産生に不可欠なタンパク質「トロンボポエチン」は、肝臓で作られています。肝臓の機能が低下すると、このトロンボポエチンの産生量も減少してしまうため、血小板の量が減ってしまうのです。

また、肝硬変による影響で脾腫が起こることも、血小板の減少を招く原因です。脾臓は、血小板の貯蔵と破壊を行う臓器です。肝硬変が起こると脾臓から肝臓へと送られる血液が減少するため、脾臓にたくさんの血液が溜まるようになります。すると、血小板も脾臓の中に多く留まるようになり、体内の血小板量が減少するのです。
さらに、肝硬変によって脾臓が腫大する「脾腫」が起こると、脾臓が持つ血小板を破壊する働きが過剰になり、たくさんの血小板が壊されてしまうのです。
免疫異常や遺伝子疾患など、血小板が減ってしまう症状は多くありますが、肝硬変のような重篤な障害による症状の可能性もあるため、血小板量の異常は甘く見てはならないのです。

  • 原因・・・C型肝炎などの肝炎ウィルス・自己免疫疾患・胆汁うっ滞・薬剤や毒物による中毒・栄養および代謝性障害・脂肪肝・過度な飲酒などの乱れた生活習慣
  • 検査・・・血液検査(肝機能検査)・腹部超音波検査・CT検査・MRI検査・フィブロスキャン・内視鏡検査・肝生検
  • 治療・・・インターフェロン・インターフェロンリバビリン併用治療・ペグインターフェロンリバビリン併用治療・抗ウィルス薬・分岐鎖アミノ酸の処方・肝移植

月経1~2週間前は減少する

血小板の量は一定ではなく、体調によって微妙に変化することがあります。
血小板が減少する例として上げられるのが、月経です。月経前1~2週間の間は血小板の数が減少してしまうのです。
しかし、月経後には再び増加するため、体への重大な影響はありません。血液検査で血小板の量を指摘された場合、医師に月経による影響かどうかを尋ねてみるとよいでしょう。

血小板の数値に神経質にならなくてもよい

血小板値は日によって3~5万/μlの間で変動します。運動による代謝の高まりや月経などの体調によっても変動するため、一時的に血小板の量が変化していたとしても慌てる必要はないのです。
肝硬変などの病が気になるという人であれば、年に2~3回の血液検査を行うとよいでしょう。担当医や検査機関によって基準値の範囲は若干異なる場合があるので、一定条件下のもと、同じ担当医に検査をしてもらうことが重要となります。

また、血小板数以外の検査項目に異常があるかどうかでもリスクは変わるため、検査後は結果について担当医にきちんと相談することをオススメします。
血小板数を回復させるには、肝臓や脾臓といった血小板の数を調節する臓器の機能を正常にする必要があります。生体機能を回復させ、問題を根本から回復させる治療を受けましょう。

 
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