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腎臓~腎機能が低下して慢性腎臓病になると~

肝臓と同じくらい重要な臓器!腎臓

腎臓はどのような臓器?腎機能とは

腎臓の機能は、簡単にいえば「血液を綺麗にする」ことです。

腎臓の中には、糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる小さな器官があり、腎臓に運ばれた血液はこの糸球体によってろ過されます。血中に溜まった老廃物は、この腎臓の機能により取り除くことができます。

腎臓が持つ主な機能は大きく分けて4つあります。

尿をつくる

上記にある、血液のろ過の過程で発生した不必要な老廃物や水分は、尿として体外へ排出されます。

詳しく説明すれば、腎臓へ送られた血液は糸球体の壁を通過する時、水分と血漿(けっしょう)、老廃物がこし取られます。血液からこし取られた液体を「原尿」といいます。

この原尿は、糸球体をすっぽり覆うボーマン嚢(のう)へと押し出され、尿細管を通ります。

原尿には、アミノ酸・ブドウ糖・ナトリウムといった、体にとって有用な栄養素も多く含まれています。

尿細管は、この原尿に入った栄養素のおよそ99%を再吸収し、残った尿素・尿酸・クレアチン・ウロビリン・アンモニア・水分が排出されるのです。体から排出される尿は、体にとって必要な栄養がほとんどない、いわば残りカスのようなものだといえます。

赤血球の数の調整

腎臓には、赤血球を作る働きを活性化させる機能があります。腎臓で作られる「エリスロポエチン」(EPO)と呼ばれるホルモンが、骨髄の造血幹細胞に作用し、赤血球の数を増やすことができるのです。

高所へ移動したために血中の酸素が足りなくなるなど、何らかの原因で貧血が起きた時、事態を察知した腎臓がこのEPOホルモンを分泌し、貧血が起こることを防いでくれるのです。

腎臓に何らかの疾患が起きた場合、このEPOホルモンが分泌できず、腎性貧血が起こりやすくなります。

血圧の調整

腎臓は貧血だけでなく、血圧の低さも感知することができます。

低血圧によって血液の流れが悪くなった時、腎臓は症状を改善するため、レニンという酵素を分泌します。このレニンは血中のタンパク質と反応し、アンジオテンシンⅡと呼ばれるペプチドホルモンが作られます。

このアンジオテンシンⅡは、血管を収縮させ、血圧を高める働きがあります。何らかの原因で血圧が低くなった時、このホルモンの作用によって血圧が正常な値になるのです。

体内環境を保つ

●血中の電解質の調整

電解質とは、細胞外液に含まれている人の体にとって不可欠なイオン類です。ナトリウム・カリウム・カルシウム・クロールが代表的です。

電解質の量が不足や、逆に過剰になることは体の細胞にとって大きな問題となります。

電解質の1つであるナトリウム、つまり塩分は、わずか10%が低下するだけで意識障害が起きてしまいます。逆に高くなりすぎれば、血圧の上昇やむくみ、ひどい場合にはけいれんや昏睡などの脳症が発生してしまうのです。

腎臓はナトリウムを始め、電解質の量の調整を行います。多すぎる場合は尿として排出し、逆に少ない場合は体への再吸収によって補うのです。

●血中の酸・アルカリの調整

水溶液の酸性・アルカリ性を判断する基準といえば、「pH」が挙げられます。水溶液中に水素イオンが多ければ、その溶液のpH値が低くなり、酸性になります。

逆に、水素イオンと結合する水酸化イオンが増えると、pH値が高くなりアルカリ性へと傾きます。つまり、水素イオンが増えれば酸性、減ればアルカリ性となるわけです。

人の体では、代謝により不揮発性酸と呼ばれる酸が発生します。代表的なのが、乳酸・リン酸・硫酸の3つです。血液のpH値が酸性に近づくと、腎臓は水素イオンを尿として排出、さらに重炭酸イオンを再吸収して、体内のpH値を中性に保ちます。

逆に、血液のpH値がアルカリ性に近づくと、腎臓は重炭酸イオンを排出し、水素イオンの数を増やしてアルカリ性を中和させるのです。

●体の水分量の調整

体の水分量が低下すると、腎臓は水分量を確保するため「抗利尿ホルモン」の分泌を行います。

この抗利尿ホルモンとは、簡単にいえば尿を出さないようにするホルモンです。腎臓が抗利尿ホルモンを分泌すると、体の中で水分の再吸収が行われるようになります。結果として尿意を感じにくくなり、尿をした場合も濃い尿が少量出るだけとなります。

また、体の水分量が多すぎた場合、腎臓は抗利尿ホルモンの分泌を抑制。すると体が尿意を感じやすくなり、不要な水分を積極的に排出するようになるのです。排出される尿は薄く、大量に出されます。

●ビタミンDを活性化させる

ビタミンDは、骨を丈夫にする栄養素として知られていますが、ビタミンDが直接作用するわけではありません。腎臓の働きによって、骨を頑丈にする栄養素が作られるのです。

腎臓はビタミンDを材料に、「活性型ビタミンD」と呼ばれる成分に変換します。この成分は、小腸でのカルシウム吸収率を高める働きがあるため、骨がより頑丈に作られるのです。

また、血液中のカルシウムは、筋肉や神経を動かすために重要な成分です。血中カルシウム濃度が低くなった時、腎臓は積極的に活性型ビタミンDを作り出し、低カルシウム血症などの症状を防いでくれます。

腎機能が低下するとどうなるか?

腎機能が低下すると、上記に書いた腎臓の機能が働かなくなり、体にさまざまな悪影響が及ぼされます。以下は、腎機能悪化による問題点の5つです。

老廃物が体に溜まる

腎機能が低下すると、老廃物や体内の毒素を尿として体外へ排泄する機能が低下します。排出されるはずの老廃物や毒素が、血液に循環してしまう「尿毒症」を発症し、臓器や器官に大きな障害を与えてしまうのです。

尿毒症に罹ると、食欲低下・吐き気・けいれん・意識混濁といった症状が現れます。

血液に酸が溜まる

腎臓には、血中の酸性・アルカリ性を調整する働きがありますが、腎機能が低下するとこの調整機能にも乱れが生じます。

血中のpH値が酸性に傾くことで発症する「代謝性アシドーシス」や、逆にアルカリ性になることで起こる「代謝性アルカローシス」と呼ばれる症状が現れるのです。代謝性アシドーシスを発症すると、二酸化炭素や乳酸が体外へ排出されず、過呼吸を引き起こしてしまいます。重度となると、嘔吐や血圧低下、昏睡状態に陥ってしまうのです。

代謝性アルカローシスになると、不整脈の他、すぐに眠ってしまう傾眠傾向や、テタニーと呼ばれる筋肉のけいれん、自分がいる場所や日時がわからなくなる見当識障害を発症する恐れがあります。

代謝性アシドーシス同様に昏睡状態になることもあるため、症状を放置すると容態が危険な状態となります。

電解質が体に溜まる

腎臓は増えすぎた電解質を尿として排出する役割を持っているため、腎機能が悪化すると、体内にたくさんの電解質が溜まってしまいます。

電解質の数が増えると、「高カリウム血症」や「高リン血症」と呼ばれる病が現れます。高カリウム血症の症状は、嘔吐などの胃腸障害、知覚過敏、体の脱力感、不整脈です。重度になると不整脈からの心停止の危険性があります。

高リン血症となると体内のカルシウム量が減少し、体にさまざまな悪影響を及ぼすようになります。カルシウム不足による骨粗しょう症、テタニー、体のしびれや肌のチクチク感、嚥下障害、息切れなどです。重度となると気道の閉塞や血管の石灰化による心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる症状へ繋がります。

水分が体に溜まる

腎臓に障害が起こると、体外へ尿として余分な水分が排出されず、体内に溜まってしまいます。体内に水分が溜まるようになると、体のむくみや高血圧といった症状が現れます。

他にも、倦怠感・頭痛・吐き気・けいれん・意識障害を引き起こす低ナトリウム血症や、咳・ピンク色の痰・重度の呼吸困難となる肺水腫が起こることもあるのです。

ホルモン異常が起こる

腎臓は、体内環境を保つホルモンの分泌も担っています。腎臓の機能に異常をきたすと、高血圧や貧血といった血圧の異常が起こるようになるのです。

他にも、ホルモン異常によって活性型ビタミンDの産出も妨げられます。血中カルシウムの低下によるテタニーや体のしびれ、さらには骨粗しょう症などの症状が現れてしまいます。

腎機能低下の速度

一時的に機能不全に陥る「急性腎不全」であれば、病院での治療と生活習慣の改善で機能を回復させることができます。

しかし、腎臓にダメージが長期間与えられたことで発症する、「慢性腎不全」の場合、回復することはありません。

腎機能の低下を早める因子として挙げられるのが、「加齢」と「高血圧」の2つ。腎不全のリスクを抑えるためには、若い内から腎臓病への対策をするか、血圧を上げる生活習慣の改善を行うことが重要なのです。

腎臓病の種類

慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎とは、血液から原尿をこし取る糸球体に異常が生じる病です。

原因は多くの場合が免疫系の異常であり、免疫からの攻撃で糸球体が破壊されて、腎臓の働きが悪くなってしまうのです。

日本で最も多い慢性糸球体腎炎は、IgA腎症です。これはIgAと呼ばれる血中の抗体が糸球体に沈着する症状であり、症状が進むと糸球体が炎症を起こして、腎機能の悪化をもたらします。尿検査での血尿や尿蛋白によって、このIgA腎症を調べられます。

急速進行性糸球体腎炎

慢性の糸球体腎炎とは異なり、急速進行性糸球体腎炎は数週間~数ヶ月という短期間で腎機能が低下する病です。

原因は、感染症や膠原病(こうげんびょう)、自己抗体や免疫複合体が糸球体の基底膜に沈着することです。症状として尿がほとんど出なくなる乏尿(ぼうにょう)・むくみ・高血圧、全身血管炎からの発熱・倦怠感・筋肉痛・関節痛が挙げられます。

全身血管炎の症状は通常の風邪と酷似していますが、尿が出なくなることや、血尿・貧血・タンパク尿の排出が起こるなど、腎臓障害による明確な症状が現れるため見分けられます。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症とは、糖尿病による高血糖・高血圧が原因で起こる腎機能障害です。

糖尿病を発症すると、腎臓の糸球体内の毛細血管にダメージを与えてしまいます。高血糖と高血圧により毛細血管が硬化してしまい、糸球体のろ過能力が徐々に下がってしまうのです。

糖尿病性腎症は初期の場合、ほとんど自覚症状はありません。尿検査で尿蛋白が検出され、さらに血液検査などの検査結果によって発覚します。

長期的な障害で腎臓の機能が低下する症状であるため、治療による機能回復は難しいですが、糖尿病の治療と血糖コントロールにより、腎不全に陥ることを避けられるでしょう。

腎硬化症

腎硬化症は、高血圧が原因で発症する腎機能障害です。

糖尿病性腎症と同じく、糸球体の毛細血管が血圧によってダメージを受けることでこの症状は現れます。傷ついた血管は太く、硬くなります。糸球体へ流れる血液の量が減ってしまい、徐々に糸球体自体が硬化してしまうのです。

硬化した糸球体はろ過機能も低下し、症状が進行すると慢性腎不全へと移行していきます。

糖尿病性腎症は、糖尿病を発症していることが原因ですが、この腎硬化症は糖尿病に罹っておらず、高血圧である人が発症します。腎硬化症を発症した場合、体のほかの血管も硬化していると予想できるため、心筋梗塞や脳卒中といった症状に陥る危険性もあります。

慢性腎盂腎炎

慢性腎盂腎炎(まんせいじんうじんえん)とは、細菌が腎臓に住み着いてしまうことで発症する腎機能障害です。腎臓の出口付近である腎盂に細菌が住み着くことから、この病名がつけられています。

慢性腎盂腎炎は、腎臓に住み着いた細菌が何度も腎臓の組織で炎症を起こすことで、腎機能を低下させていく病です。

症状として尿の中に膿が混じることや、突然の高熱、腰の痛みが挙げられますが、自覚症状が全く現れない人もいるので注意が必要です。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)は、先天的な腎疾患の1つです。両親のいずれかにこの症状を患っている人がいると、その子供にも遺伝することがあります。

腎臓に嚢胞と呼ばれる袋がたくさん作られ、腎臓の働きを阻害してしまうことでこの症状は引き起されます。嚢胞は年齢とともに数が増え、大きくなるので、年齢を重ねると徐々に腎機能が低下していきます。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、蛋白尿が大量に出ていることを指した症状です。

健康的な人であれば、検出される蛋白尿は0.3g以下となりますが、1日3g以上の大量の蛋白尿が検出された場合は、ネフローゼ症候群と診断されます。

大量の蛋白尿が検出され、さらに腎臓に何らかの症状が見られる場合は「一次性ネフローゼ症候群」、腎臓以外の臓器や腎臓を含めた複数の臓器に影響が見られる場合「二次性ネフローゼ症候群」と診断されます。

ループス腎炎

ループス腎炎は、自己免疫疾患である膠原病の一種です。

エリテマトーデスによる抗原・抗体の複合物が糸球体に沈着し、炎症が引き起こされることでこのループス腎炎を発症します。全身性エリテマトーデスに罹った人の90%がこの症状に罹るとされており、エリテマトーデスによる症状のほか、蛋白尿・血尿・むくみといった症状が現れます。

重度となればネフローゼ症候群に陥り、放置すると腎臓の機能が低下する恐れがあるのです。

慢性腎臓病(CKD)は危険

8人に1人が慢性腎臓病

慢性腎臓病は、慢性的に症状が現れる腎臓病のことを指します。2008年に日本腎臓学会が出した統計では、国内のおよそ1,330万人が慢性腎臓病の患者だとしています。これは、およそ国民の8人に1人が慢性腎臓病であるという結果です。患者数の多さから、慢性腎臓病は新たな国民病の1つとも呼ばれているのです。

慢性腎臓病は、自覚症状が少ないのが厄介な点です。ろ過機能が低下しつつあるステージ1、ステージ2までは、詳しい検査をしない限り本人が気づくことはできません。異変に気づくステージ3まで進行すると、腎臓のろ過機能は半分近く失っており、速やかに医療機関へ受診しなければなりません。

ステージごとの自覚症状

進行度 自覚症状 治療方法
ステージ1 腎障害はあるが、GFRは正常。 自覚症状なし。健康診断で発見される。 食生活・生活習慣の改善。運動習慣の実施。禁煙。過度な飲酒を控える。
ステージ2 腎障害があり、GFRが軽度低下。 自覚症状なし。健康診断で発見される。 食生活・生活習慣の改善。運動習慣の実施。禁煙。過度な飲酒を控える。
ステージ3 GFRが中度低下。 むくみ、尿の異常、夜間頻尿、貧血、倦怠感、高血圧。 病院での薬物治療。普段食べる食事で、塩分、タンパク質だけでなく、カリウムの摂取も制限
ステージ4 GFRが高度低下。 尿量の減少、食欲不振、胃のむかつき、息苦しさ、イライラ。 投与量を調整しながらの薬物治療。厳格な食事療法と生活習慣の改善。透析治療の準備。
ステージ5 末期腎不全。 吐き気、全身のかゆみ、食欲低下、心臓の異常。 血液透析。腹膜透析。腎移植。

機能が低下した腎臓は治らない

慢性腎臓病の症状は、ある一定のレベルを超えると機能の回復は見込めません。そのため、腎不全になる前の早期発見・早期治療が重要となるのです。

もしも腎不全に陥った場合、透析治療か腎移植の2つしか治療法の選択はできません。透析治療は定期的に通院しなければならず、生活をする上でも負担や制限が多く掛かります。

そのため、腎移植を希望する人が多いのですが、再生医療がまだ本格的に行われていない現在では、臓器提供者の数に比べて移植希望者の数が非常に多く簡単に移植を受けられないのです。

慢性腎臓病の検査と数値

尿検査

尿検査は、健康診断で必ず行われる検査方法の1つです。提出した尿から、タンパク質・血液・糖・その他沈殿物を調べて慢性腎臓病を始めとした病気の有無を検査します。

●蛋白尿

尿中のタンパク質が多いと、将来的に慢性腎臓病の発症リスクが高くなります。

腎臓の機能低下のほか、前日に風邪を引いていた場合や、スポーツ後に尿中のタンパク質が増加することがあります。そのため、タンパク質が過剰に検出された場合、後日再検査を行うのです。

●潜血反応

潜血反応(せんけつはんのう)とは、尿にどれくらいの量の血液が混じっているかを試薬で調べる検査です。正常な人の尿中にはおよそ2万個の赤血球が排出されていますが、腎臓や膀胱、尿道に異常が見られた場合はこの赤血球量が増加するのです。

●尿糖

尿糖検査は、尿の中に入っている糖の割合を調べる検査です。健康な人の尿の中にも糖は微量に入っていますが、血糖値が高い場合や、腎機能が低下していると、排泄される尿の中に多くの糖が混じってしまうのです。尿糖検査では、糖尿病やメタボリックシンドロームの検査ができるほか、慢性腎臓病のリスクも調べられます。

●微量アルブミン尿

微量アルブミン尿検査は、尿中にアルブミンと呼ばれるタンパク質が含まれているかを調べる検査方法です。

アルブミンは体にとって重要なタンパク質なので、通常は原尿から体に再吸収され、排泄される尿中には含まれません。このアルブミンが尿中に含まれるということは、腎臓のろ過機能に問題があると診断できるのです。

血液検査

腎臓は尿を作り出すと同時に、血液をろ過する機能も持っています。本来血液からろ過されるはずの、老廃物や毒素が血中から検出された場合、腎機能に異常があると診断できます。

●血清クレアチニン

クレアチニンとは、アミノ酸が分解された後にできる老廃物です。腎臓に血液が送られた際、このクレアチニンは糸球体からこし取られますが、腎機能が低下すると、クレアチニンがろ過されず、血中に多く残ってしまうのです。

血清クレアチニン検査は、血中にどれだけのクレアチニンが含まれているか調べる検査です。基準値を大きく超える値が検出されれば、腎機能に異常があると診断できます。

●血清尿素窒素

尿素窒素は、タンパク質が分解された時にできる老廃物です。クレアチニンと同様、健康な腎臓であれば血中の尿素窒素をこし取り、尿と一緒に排出しますが、腎機能に障害があった場合血中に多く残留してしまうのです。

血清尿素窒素の検査は、血液中の尿素窒素の量を調べることで、腎機能が正常に働いているかどうかを調べる方法となります。

その他検査

●超音波検査

慢性腎臓病は、進行すると腎臓の萎縮を招きます。超音波エコー検査で腎臓の形を調べることで、腎臓が正常かどうかを調べることができるのです。

●腎生検

腎生検(じんせいけん)とは、腎臓組織を直接採取し、顕微鏡で調べる検査です。うつ伏せの状態から穿刺針(せんししん)を刺し込み、ごくわずかな腎臓組織を採取します。採取後は、顕微鏡検査や染料を使った検査を行い、急性腎炎・慢性腎炎・腎硬化症などの症状を診断できます。

腎生検は、検査でどのような症状かがはっきり診断できない場合や、治療を行う上で症状を確定するために行われる検査です。通常の健康診断などではこうした検査は行われません。

穿刺針を刺す場合は、部分麻酔を施して痛みを和らげますが、衝撃や圧迫感、麻酔でも緩和できない傷みを感じることがあります。

腎機能を測る「eGRF」

eGRFとは、「推算糸球体ろ過量」のことです。これは簡単にいえば、腎臓のろ過能力がどれだけあるかを示す値です。このeGRFの値が低くなればなるほど、腎臓の働きが悪いことを意味します。

このeGRFの値は、血液検査で調べられる血清クレアチニン値と、年齢、性別を調べることで計算することができます。

慢性腎臓病の定義

慢性腎臓病は、3つの条件を満たすことで罹患していると定義できます。

定義はそれぞれ

1.糸球体ろ過値(GFR)が60ml/min/1.73㎡未満、

2.尿異常(0.15g/gCr以上の蛋白尿・30mg/gCr以上のアルブミン尿)・画像・血液・病理での診断で腎機能障害だと判断された場合、

3.前述した1、2の状態が3ヶ月以上続くこと

の3つです。

慢性腎臓病の重症度

G1 (GFR90以上) G2 (GFR89~60) G3a (GFR59~45) G4b (GFR44~30) G5 (GFR29~15) G6 (GFR15以下)
尿アルブミン定量・正常 リスク低 リスク低 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿アルブミン定量・微量アルブミン尿 リスク中 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿アルブミン定量・顕性アルブミン尿 リスク高 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿アルブミン中Cr比率・30未満 リスク低 リスク低 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿アルブミン中Cr比率・30~299 リスク中 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿アルブミン中Cr比率・300以上 リスク高 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白定量・正常 リスク低 リスク低 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白定量・軽度蛋白尿 リスク中 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白定量・高度蛋白尿 リスク高 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白中Cr比率・0.15未満 リスク低 リスク低 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白中Cr比率・0.15~0.49 リスク中 リスク中 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高
尿蛋白中Cr比率・0.50以上 リスク高 リスク高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高 リスク非常に高

慢性腎臓病(CKD)の治療法

総合的な治療で慢性腎臓病の進行を遅らせる

慢性腎臓病の治療は、ステージごとにそれぞれ異なります。症状が軽度であるステージ1~2までは、生活習慣の改善など個人の努力で症状の改善ができます。

ステージ3に入ると病院での治療を受けることが不可欠となり、4以降は治療というよりも症状を遅らせるための方法や、尿毒症などの症状を避けるための対処法となります。

●ステージ1~2

  • 食事療法
  • 1日の摂取カロリーを、標準体重✕25Kcal以下に抑える。塩分は6g以下に抑える。脱水にならないように適度な水分補給をする。

  • 生活習慣
  • 適度な運動を行う。過度な飲酒を控える。タバコを控える。十分な睡眠時間の確保。

  • 血圧
  • 130/80以下、尿蛋白1g/日以上なら125/75以下にする。

    ●ステージ3

  • 食事療法
  • ステージ1~2で挙げた摂取量の制限のほか、カリウムの制限も行う。

  • 生活習慣
  • ステージ1~2と同様

  • 病院
  • 薬物療法による治療。

    ●ステージ4

  • 食事療法
  • ステージ3よりもより厳格に行う。

  • 生活習慣
  • ステージ3よりもより厳格に行う。

  • 病院
  • 治療薬の量を調整して処方する。透析の準備を進める。

    ●ステージ5

  • 血液透析
  • 国内の透析患者の9割が行っている治療法。上腕に「シャント」と呼ばれる動脈・静脈をつなぎ合わせた場所を作り、そこを介して透析機で浄化された血液を体内に送る。

    病院での拘束時間や、血圧の変化による頭痛や倦怠感、心血管系への負担があるものの、透析効率の高さや永続的な治療が可能というメリットがある。

  • 腹膜透析
  • 腹部にカテーテルを埋め込み、腹腔(ふくこう)へ透析液を注入する治療法です。浸透圧の働きで、体の不要な尿毒素や電解質を透析液へ移して取り出すことができます。

    血液透析とは異なり、10年程度で腹膜が劣化して治療が行えなくなることや、一度腹部に大きな手術を受けた人は腹膜透析が行えないという問題点があります。

    しかし、血液透析に比べて透析中の体の負担が小さく、さらに個人で透析ができるため、透析をしながら自宅や会社で過ごせるといった利点があります。

  • 腎移植
  • 脳死状態の患者さんや心停止後の人、または親族などからの臓器提供により、心臓を移植する方法です。

    たとえ家族でも、臓器移植は拒絶反応が起こるので、手術後も免疫抑制剤を服用しなければならず、術後の負担に加えつらい副作用にも耐えなければなりません。

    さらに、無事移植ができたとしても結局適合できずに再摘出することになる場合もあります。他人からの臓器移植も希望者に対して提供者が非常に少ないため、移植は簡単には行えません。

    しかし、無事移植して生着できれば、透析による負担や合併症などの問題もなく、QOLが高い生活を送ることができます。

腎臓は体の中で大切な臓器

腎臓は機能が低下しても実感がしづらいため、健康診断で腎機能の悪化を指摘されたという人も、それほど深刻には捉えないでしょう。

しかし、一度腎不全に陥れば、二度と腎臓の機能は戻ってきません。厳しい食事制限や定められた生活習慣、毎月行うつらい透析に耐えなければならず、生活の質は大きく下がってしまうのです。

取り返しのつかない事態に陥らないためにも、腎臓の負担を抑えるために食事や生活習慣について考えましょう。

 
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