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自己免疫性肝疾患

本来自分の体を守る働きである免疫が、何らかの理由で自分の肝臓を攻撃して起こる肝機能障害が「自己免疫性肝疾患」です。中年以降の女性に多い肝障害であり、難病に指定されています。

自己免疫性肝疾患とは?

自己免疫性肝疾患は、本来は自分の体を守るためにウィルスなどを攻撃する機能である免疫が、自分の正常な肝細胞を攻撃してしまうことで起こる障害です。
患者の80%以上は女性で、特に50台以降の中年女性に多い病気です。

症状だけでは他の肝疾患と同じく区別が難しく、初期段階では全身の倦怠感(だるさ)、食欲不振、関節痛、発熱などの症状が現れますが、重症になると黄疸・腹水などの肝不全症状が出ます。

自己免疫性肝疾患の原因はまだ不明ですが、ウイルス感染(B型・C型肝炎ウイルスなど)や、一部の薬剤の使用が免疫異常を引き起こす原因との説があります。

自己免疫性肝疾患の診断方法

自己免疫性肝疾患は、症状だけでは他の肝臓疾患とは区別できません
血液検査によって「血清トランスアミナーゼ値(GOT、GPT)値が高い」「免役グロブリンのIgG値が高い」「抗核抗体を始めとする自己抗体が陽性」という結果が出た場合に自己免疫性が疑われ、最終的には肝組織を取ってウイルスが存在しないか検査する肝生検によって確定するというのが、一般的な診断の流れです。

自己免疫性肝疾患の治療法、日常生活の注意

自己免疫性肝炎の治療には、自己免疫反応を抑える副腎皮質ステロイドが投薬されます。副腎皮質ステロイドは自己免疫性肝炎の特効薬で、血清GOT(AST)、GPT(ALT)を速やかに基準値に収める効果があります。

しかし、副腎皮質ステロイドを投薬していると体の抵抗力が弱まるので、感染症を防ぐための注意が必要です。日常生活でも、人の多いところに出かけるときにはマスクを使う、手洗い・うがいを励行する、粉塵の多い場所を避ける、など心がけましょう。

また、副腎皮質ステロイドには、食欲亢進や肥満、糖尿病、高脂血症などの副作用があります。体重が増えないように、食事の量とカロリーに気を配ることが大切です。

自己免疫性肝疾患は原因が不明なので、予防をすることもできず、現時点では根治することができない病気です。
一生治ることのない病気ですが、適切な治療を受けている患者さんの生存期間は、健康な人と差のないことが調査によって分かっています。

肝機能検査値が正常化しても、治療は長く続けることが大切です。適切な治療を受けず血清トランスアミナーゼ(GOT、GPT)が基準値内に維持できない場合、肝不全や肝細胞癌を発症する場合があります。

自己免疫性肝疾患の種類

AIHⅠ~Ⅳ型について

自己免疫性肝疾患は、英語での病名を「Autoimmune hepatitis」と表し、その頭文字をとって「AIH」と呼んでいます。AIHはⅠ型からⅣ型までの4種類に分けられ、日本でⅡ型、Ⅲ型、Ⅳ型が出ることは稀です。

Ⅰ型は抗核抗体、抗平滑筋抗体、交換細胞膜抗体で、Ⅱ型は肝心マイクロソーム抗体1型、Ⅲ型は可溶性肝抗原に対する抗体、Ⅳ型は抗平滑筋抗体のみ陽性と分かれています。

AIHⅠ型~Ⅲ型、それぞれの特徴

Ⅰ型は全身性エリテマトーデスの衆生と、LE細胞現象の検査成績が出ることがあり、LE細胞現象陽性の症例だけ「ルポイド肝炎」と呼びます。

肝心マイクロソーム抗体は、肝臓と腎臓(近位尿細管)のマイクロソームと反応する抗体で、1~3型に分けられます。1型の標的抗原は「チトクロームP450 2D6」と呼ばれており、HCV蛋白との相同性があるとされています。

AIHⅡ型の患者は女性に多く、14歳までの女性のHCVマーカー陽性率は低く、45歳以上になると高くなります。またAIHⅡ型は進行が早く、3年ほどで肝硬変へと進展してしまう可能性が高いです。

AIHⅢ型は、肝細胞のサイトケラチンが抗原となっている可能性が高いと考えられています。

人種によるAIHの種類

日本では、AIHの陽性率は中高年に多いとされ、比較的軽症でステロイド治療が有効だといわれています。対して白人の場合、中高年を迎える前の10~20代に小さなピークを迎えるとされており、その症状は重症であることが多いです。

この違いは、白人はHLA-DR3とHLA-DR4が危険因子となるのに対し、日本人はHLA-DR3の陽性者が極めて少ないことが挙げられます。 このため日本人には若年層のピークはなく、HLA-DR4陽性による中高年のピークのみとなっているといわれています。

自己免疫性肝疾患は遺伝するのか

遺伝的素因の関係は否定できない

一般的に、自己免疫性肝疾患は「遺伝病ではない」といわれていますが、まったく関係ないかというと、そう言いきれない一面もあるようです。日本人に多いとされるHLA-DR4陽性は、白血球の型のひとつであるため、発症において遺伝的要素が関係しているといわれています。

自己免疫性肝疾患については明確な原因が明らかにされていないため、すべての患者が遺伝によって発症しているとは断言できません。また、遺伝要素が関係している場合は、遺伝要因に何らかの環境要因が加わって発症していると考えられています。

ただし、HLA-DR4の遺伝子の一部は両親から受け継がれるものなので、両親または父母どちらかが自己免疫性肝疾患を発症した場合、その子どもの発症率は若干上がるといわれています。これもごくわずかな確率なので、必ず遺伝すると心配する必要はありません

自己免疫性肝疾患の予防は可能?

自己免疫性肝疾患はその発症原因が明らかにされていないため、明確な予防方法はないのが現状です。自己免疫性肝疾患とほかの肝疾患が同時に発症してしまうと、さらに肝臓にダメージを与えてしまうことになるため、ウイルス性の肝炎にかからないように気をつけるということは、予防策のひとつです。

また、脂肪肝など肝臓に負担をかけないよう暴飲暴食を控えたり、飲酒を控えるということも予防策として挙げられます。

自己免疫性肝疾患は、早期発見により早く治療を開始できれば、副腎皮質ステロイドでコントロールでコントロールすることが可能です。

服薬する際はこまめに肝臓の検査を受けたり、倦怠感や皮膚が黄色くなるなどの症状を覚えたら、できるだけ早く内科の受診を受けることなど、早めの対処が肝心です。

参考:『自己免疫性肝炎診療・研究の現状と今後』恩地森一・阿部雅則
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/108/11/108_11_1823/_pdf

 
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